【その5】パトン良いとこ一度はおいで
〜4日目の朝6時〜
岡田くんが隣でゴソゴソしだしたのにつられて起きる。またお前か
寝ぼけ眼でこんな早くに起きて何をするつもりなのかと話を聞いてみるとどうやら昨日のサーフィン(紛い)がお気に召したらしく、今日もカロンビーチに行くらしい。
昨日は違反切符を切られて宿に引きこもっていたので今日は外出しようと自分もいそいそと準備を始めた。
〜いい波のってんねー!カタビーチ〜
ハマスケ、剛、岡田、自分の4人でビーチへ向けて出発。早朝の交通量が少ない道をかっ飛ばし、目的地であるカロンビーチに到着。しかし全く波がない。これでは波に乗れないじゃないか!ということでもう少し離れたカタビーチへ向かう。
プーケットはリゾート地であり、ホテルやレンタルバイク屋、お土産屋さんなどが所狭しと並んでいる。そんな通りには見向きもせず、ただでかい波を求めてかっ飛ばす日本人4人。なんとも可笑しな図である。
そんなこんなでカタビーチに到着、道路脇にバイクを止めて、お待ちかねの海へ到着したというわけでハマスケと剛に身一つで、波に乗る方法についてレクチャーしてもらう。
【え、サーフィンするんじゃないの???と思ったそこの貴方、説明しましょう。】
ハマスケ曰く、サーフィンをするには、波が沖の方で割れる(イメージ図🌊)必要性があるらしい。今回我々が泳いでいるカタビーチでは、波が砂浜のすぐ近くで割れている。サーフボードなんぞバカでかい板で波になってしまったら、人を巻き込んで座礁してしまうのでサーフィンは不可能、というわけである。
というわけで、身一つで波に乗る方法に戻ろう。身一つで波に乗るにはまず、自分の足がつくかつかないかギリギリ辺りの位置ででかい波を待つ。よし!この波に乗るぞと決めたところで、波を背に自身の後方約3m程度のところまで波が到達するのを待つ。到達したとき、波の進行方向に向かって全力で泳ぐ。うまくいけば波が体を持ち上げてくれ、波に乗ることが出来るらしい。(伝わりにくくてゴメン)
自分はそもそもカナヅチで泳ぐのが下手なので、一度も乗れないままだったのだが、大きい波(自分の背丈と同じくらい)がくる、というだけで楽しかった。
沖に背を向けてのんびり会話なんぞしようもんなら一気に波に体を持っていかれ、一回転して座礁、なんてことはよくある話らしい。
ひとしきり波と戯れていると、便意のビッグウェーブが腸に押し寄せてきたので、トイレへ
タイでは公衆トイレが有料(10バーツ)であり、お金を払わずに入ろうもんならトイレの前で番をしているおっさんにカンカンに怒られる。しかし自分は先程まで海で泳いでいたということもあり、あいにく持ち合わせはない。腸に押し寄せるビッグウェーブ、あまりの腹痛に脂汗まで出てきた。
もうこれしかないと一か八か、トイレの前で番をしているおっさんに向けて精一杯の辛そうな顔で「ト、トイレ使ってもいいですか…」と尋ねると、なんと快諾。ことなきを得たのであった。
地獄の門番とは名ばかりのおっさんケルベロスを欺き、用を済ませたのち、朝ごはんを食べようということでカタビーチを後にした。
〜ブオオン!早いぞ剛!涙の大ゴケ〜
朝ごはんを求めて道を突き進んでいると、アップダウンがかなり激しい山道へと入っていった。景色の良いご飯屋さんはあるものの、まだ朝の8時ということもあってオープンしていない。どこか開いている店はないかとバイクを走らせていると、またご飯屋さんを見つけた、迷わず駐車場に入るも営業時間外だった為、しかたなく砂利道でできた駐車場を切り返す。
また別のご飯屋さんを探すために出発しようとする一行、しかしハマスケと剛の発進が被ってしまう(下図参照)
焦る剛、ブレーキを握ってバイクを制動しようとするもアクセルを捻ってしまっていた為、バランスを崩し暴れ牛のように右に左に揺れる揺れる。
しまいにはバランスを崩し、結構な勢いで横転。その姿はサカナクション12thシングル「多分、風」のジャケット写真そのものであり、盛大な土煙を巻き起こしながら転倒していた。(下イメージ図)
結構な勢いでの転倒、土煙を巻き起こしながらもまだ回っているタイヤに一瞬最悪の状況を想定する一行だったが、当の本人が最初にあげた言葉は、
「ナーハッハッハッハッハッ!」
笑い声だった。
あ、大丈夫なんやね…とホッと胸を撫で下ろし、車体の傷と当人の怪我を確認したのち、また別のお店を求めて何事もなく出発しましたとさ。
おしまい