腹ごしらえして進むのだ
10月のとある日、いつもより早起きして前日のテレワークのお陰でテーブルに出しっ放しになっているPCとノートをカバンに詰め込んだ。
普段は8時までぐっすりな自分がなぜ早起きしているかというと今日は大阪府の真下に位置する和歌山県にて、用事があるからである。
用意が早めに終わり、余った時間で寛ぐのも程々にして家を出る。今日は晴れ。
本日同行するのは栗河先生。7月に配属された自分にマンツーマンで仕事を教えてくれるいわば教育係であり、実際の仕事中もホントに「栗河先生」と呼んでいる。
栗河先生はぽっちゃり体型の優しそうな顔をしたオッサンでイメージとしては眼鏡をかけてなくて黒髪のサンドウィッチマン伊達である。
そんな栗河先生と大阪駅で合流したのち、早速和歌山に向かう電車に乗る。乗った直後、栗河先生の電話が鳴った。怪訝そうな顔をしつつ電話を終えた栗河先生は自分に向かって一言。
「うつ君、今日の予定が後ろ倒しになったので事務所に戻りましょうか」
どうやら先方の仕事の都合で朝からあった予定が後ろ倒しになったらしい。早起きした意味が一瞬で爆散。ため息混じりに「ハイ…」と答えつつ電車を降り、歩いて数分の事務所に向かう。
事務所に着くと、部内のメンバー達は朝礼であった。「アレ?!なんで帰ってきたの?!」との質問をのらりくらりとかわしながら、事務作業を済ませた。
結局12時過ぎの電車で和歌山に向かうことになったので、前日時間がなくて取り組めなかった業務を再開する。
どんな業務かというと、ある会社Aと自社が取引する為の社内申請であり、この申請が承認される事によって、初めて自社の商材を会社Aに利用してもらう事が可能になる。
本案件にはタイムリミットがあり、申請の承認が遅れる事はすなわち取引が丸々遅れてしまう事を意味する。(フラグ)
そんな案件を栗河先生に押し付けられたので、とりあえず出発までは取り組んでいた。
さあ後は申請するだけ!というところでお昼時になったので、出発前に駅ビルで栗河先生と森下教授(※1)とランチする事に。
※1 飄々としてイタズラ好きなおじさん。物知りなので勝手に「森下教授」と呼んでいたらみんなからも呼ばれる様になっていた。
そんなわけでランチとは名ばかりの昼飯を食べに行った一行。駅前第一ビルB2Fに位置する定食屋にて腹ごしらえを済ませた後、栗河先生と和歌山に向けて出発。
行きの車内では満腹ということもあり、爆睡。和歌山まで2時間弱の道中は一瞬で過ぎていった。
先方の最寄駅に着いたのち、秋晴れの陽気の中を自分と栗河先生は他愛のない会話をしながら徒歩30分程の道のりを歩いていく。しかしまぁこんなにポカポカだとお互いに気が緩みまくり栗河先生の娘の話だとか、自分の新居についての話だとか業務には全く関係のない話が弾み過ぎて気がつくと我々は喫茶店に入っていた。
栗河先生はよくサボる人で何かと喫茶店に入りたがる。まぁPCを開いて仕事をしつつコーヒーを飲みながらくだらない話をしているのだが今回に至ってはもはやPCすら開かず喋り続けた。
取引先との約束の時間が迫ってきたのでバカ話も程々に店を出て、取引先に向かう。
栗河先生が取引先と話をしている最中、隣でカタカタと今朝用意した申請を済ませ、のんびりしていると数分後、自分宛に一本の電話が飛んできた。
「うつ君、さっき出してくれた申請間違ってるよ!」
森下教授からである。そこそこ焦った様子で飛んできた電話は自分にとって地獄以外の何者でもなく、手足がブルブルと震え出した。
前述した通り、本申請が遅れるということは取引が丸々遅れるという事であり自身のせいでそんな事になってしまうとは微塵も思わなかった。
「とりあえず俺が何とかするから次からは気をつけて!切り替えていきましょう。じゃあね~」
自分の不甲斐なさ、注意力の無さに辛くなる。こんな事態は新入社員でもなかったら怒鳴り散らすであろう事態なのに森下教授は優しく声を掛けてくれた。その優しさにまた辛くなる。
結局その後の取引については全く頭に入らないまま午後18時を迎える。秋の日はつるべ落としとはよく言ったもので取引が終わった頃、外は真っ暗だった。
自分がミスをして取引自体が遅れるかもしれないという連絡は勿論栗河先生の耳にも入っており、慰められながら真っ暗な帰り道をまた栗河先生と歩く。
どうしてもお腹が空いたという栗河先生の要望で道中に一つだけポツンと佇むコンビニに立ち寄る。外で待っていると栗河先生が缶ビールを2本持ち、店から出てきた。2本のうちの1本を自分に差し出す。
「すいませんが私は呑みますよ、うつ君もどうですか。」
どうしてもお腹が空いたと言っていた栗河先生の手にはおにぎりの一つも無く、ただ缶ビールだけを持っていた。
「さあ呑んで話でもしながら帰りましょうか」
普通ならここでカッコいい格言を言うところだがまさかこんなにラフだとは思ってもみなかったので、特に言葉を返すわけでもなくキョトンとしてしまった。
そこからの帰り道の事はあまり覚えていない、なぜなら大失敗によって非日常となるはずだった今日一日は栗河先生の一言二言で一気に日常に戻ってしまったからである。
なんでもない日常というものは余程意識しなければ思い返すことは難しい。ただ自分はこの日を忘れたくないし何十年しても思い返したいと思った。
そんなわけで本稿を備忘録として残そうと思ったわけである。
【その8】パトン良いとこ一度はおいで
〜最終日の朝〜
はますけに起こされて10時くらいに起床。のそのそとリビングに向かうとみんなせっせと荷造りをしていたので、シャワーを浴びて自分も荷造りを始める。
荷造りの為にあちらこちらへ置いていた自分の服やらメガネやらを取りに走り回っているとレンがiPadにかじりついていた。どうやら日本では見れないジブリ映画がタイではNetflixで観れるらしい。羨ましい。荷造りを済ませたあと、自分も帰りの飛行機で何かしら暇をつぶす為にダークソウル3RTA動画をダウンロードする。
しばらくソファでゴロゴロしていると清掃員と思われるタイ人たちがゾロゾロと入ってきたのち、キッチンで謎の果物を食べ始めた。近くにいたハマスケがお前も食べるか?と謎の果物を手渡され、一口食べる。途端に表情が険しくなり、吐き出していた。(飲み込んでた気もする)
食べた人全員が口を揃えて「タイで一番不味い」と言っていた謎の果物。どうせなら食べておけばよかった。
なんやかんやでチェックアウトの時間がやってきたので清掃代と電気代を支払い、家を出ようとする一行。今回ホテルの管理人であるユミコとはハマスケがずっと連絡を取ってくれており、我々の中でもユミコと特に絡みが深かった。
そんなユミコ(オカマ)が家を出る前にハマスケを呼び止め、なにかを翻訳しだす。まだ何か支払いや手続きが済んでいないのかと翻訳を待っていると
ユミコの携帯「あなたに恋をしています。」
凍りつく一行と後ろで爆笑する清掃員たち、先述したがユミコは下半身工事済みでありドチャクソに男が好きなバチボコの女おじさんなのである。狼狽するハマスケ、すかさず残りのメンバーに
ハマ「早く出ろっ!逃げろ!たのむ!」
とりあえず命と貞操が大事なので逃げるように宿を出て、一刻も早くトゥクトゥクを捕まえる為ダッシュで坂道を駆け下りた。オカマ怖い
〜みんなで行こうよオールドタウン〜
オカマから逃げるようにチェックアウトを済ませた一行はつよしの提案で島の東側に位置するオールドタウンへ。トゥクトゥクを捕まえ向かう、乗り物酔いを気合で抑え込みつつプーケットの山道を爆走する。車内では爆音でEDMのような音楽がかかっているがどの曲もフィル、バスドラムのパターンが同じであり、あ!この曲知ってる!となったところで改悪されていたので逆に酔った。
そんなこんなでオールドタウンへ到着。オールドタウンというのは所謂インスタ映えスポットであり、カラフルな街並みとともにお洒落なカフェやアクセサリー屋さんが並んでいる。我々とオールドタウンは水の油のように交わらないはずの場所なのだが来てしまったものはしょうがないので楽しむことに。
まずはお昼ご飯を食べようということでご飯屋さんを探し出した一行。レンがネットで見つけたナチュラルレストランというご飯屋さんが美味しいらしいのでそちらへズンズンと歩いていくが先述した通り、向こうは夏なので途中でコンビニで涼む。涼みがてら店内を見回していくと栄養剤くらいのサイズの瓶に入ったレッドブルが売ってあったので興味本位で購入。ハマスケ曰く日本のレッドブルより強力らしい。自分はケープのアイスオレなどを始めとしたカフェイン類にめっぽう弱く、すぐソワソワしてしまうタチなのだがなんせ暑いし喉も渇いていたので秒で飲み干した。(このせいであとで痛い目見た)
〜ナチュラルレストランと夏バテ〜
しばし歩いていると目の前に鬱蒼と生い茂った森!木!ネイチャー!みたいな感じの建物が出てきたので絶対ここだ!と鷹を括って入店。案の定ナチュラルレストランだった。
もうこれ虫とか大丈夫なのかと心配するくらい店内にも木々が生い茂っている。なぜか落ち着く雰囲気であり、本能的な何かを刺激されている感じがしつつ席につく。
とりあえず全員料理を頼み始める。ハマスケと勇はでっかいお魚のカレースープを分けっこするらしく、値段がバカ安いとのことでテンションが上がっていた。
料理がきたので食べ始める。お魚カレースープを食べている2人はもう口から「美味い」「少し食うか?」の二言しか発していなかった。食べてみるとタイで食べた魚料理の中で一番美味しかった。
(写真右下に見えるのがお魚カレースープ)
(写真左側岡田くんはグリーンカレーがいくら食べても減らないと嘆いていた)
お魚カレースープを食べ終わり満足そうにお腹をさすっていた2人、しかしそんなうまい話ではなかった。2人が想定していたお魚カレースープは一人前で80バーツ(うろ覚え)しかし、お店側が提示してきた値段はなんと340バーツ。なんで?!なんで!となる2人、詳しく話を聞いてみるとなんとこのスープ100g/80バーツらしい。
メニューをもう一度よく見てみるとたしかに
100G/80バーツと書いてあったがグラムをgじゃなくてGと表記してあったので勘違いしていたらしい。ここでブーブー言ってもしょうがないのでしかたなく340バーツを払っていた。
とりあえず満腹になったのでお店の前でひとまずタバコを吸っていると、つよしの様子がおかしい、本人曰く熱中症っぽいらしい。レンやようすけがお水買ってこようか?と心遣いを見せている横で、岡田くんは「渡部陽一、マラリアで死を覚悟するもファンタオレンジで一命を取り留める。」という記事を見てファンタオレンジ買ってこよか?とよくわからない心遣いを見せていた。
剛は少し休んで回復したらしいので再びオールドタウン方面へ歩いているとセブンイレブンがあったので入店。つよしは渡部陽一の経験談を信じてファンタオレンジを飲んでいた。しかもその直後くらいにはもう回復していた。
〜ユミコ再び〜
それぞれ行きたい場所があるようなので分かれて行動することに、ハマスケとつよしと岡田はマーケットの方へ、残りのメンバーはカフェで涼むことに。
カフェへ入店し、1時間ほどだらだら涼んでいるとつよし側の用事が終わったようなので、合流してパトン市街へ帰る。
パトン市街へ帰る車中、先ほど飲んだレッドブルのせいで頭はぐわんぐわん胸はドキンドキン体はフワンフワンしていたので地獄でした。それだけ。
宿にスーツケースなどの大きい荷物を預けたままだったので一旦宿に帰る。それはユミコともう一度対面することを意味していた。
宿に到着すると、案の定ユミコが待っていたので、早々に持ち物の整理を済ませる。ユミコは風邪気味らしく昨日からマスクを付けていたのだが、マスクをなぜかおでこの方へずらしていた。また、ユミコは同じ話を何度もしてくるのだが、それを笑顔で「何言うてんねん、しばくぞ」と、さも親しく会話しているかのように罵詈雑言を浴びせる技を習得した。
(おでこの方へマスクをずらすユミコ)
ユミコと別れ、プーケット空港に向かったのち、飛行機で何事もなくバンコク国際空港へ到着。さすがにヘロヘロになっている一行だったが、次の飛行機まで4時間近くあったので早々にチェックインを済ませて免税店で買い物することに。
もうすぐホワイトデー(この日は3月9日だった)なのでなんかいいもんないかなと免税店を練り歩く。タイではお香がポピュラーなのか結構な数のお香やディフューザーが並んでいるので1.2時間悩んだのち、レモングラスのディフューザーを購入。その近くで剛やハマスケはタイのタバコをカートン買いしてた。
〜帰国〜
さあここまでくれば日本まであと少し、チェックインは済ませてあるので飛行機の搭乗口に向かう。時世が時世なので飛行機に乗り込む前におでこにかざして一瞬で体温を測れる的な機械でピッとされるのだが、剛に何度やっても上手くいかず係員さんたちは首を傾げて最終的になあなあに通してくれた。また、結局は大丈夫だったのだが勇と迅が体温検査で止められていた。
(タイ新国王と記念写真)
飛行機に乗り込んで体感30分(全部寝てた)で日本に到着、寒い。入国審査もなんなく終え、安堵する。タイ二日目あたりから帰国したらまずすき家が食べたい!とずっと言っていたのでクタクタの身体ですき家へ行き、久しぶりのネギ玉牛丼に感動する。ずっとそばに居てくれ。
さすがにみんな疲れ果ててもう帰りたいので電車に乗り、爆散。
完
【その7】パトン良いとこ一度はおいで
〜5日目の昼〜
昨日は一日中遊び回った為(というか昨晩遅くまでビリヤードをしてい為)12時過ぎに起床、勇と岡田くんとようすけはパトンに買い物に行ったらしい。残った5人は同じような時間に起きた後、プールサイドでくつろぐ。
買い物&昼飯終わりの3人が帰宅、つよしが明日は日本に帰る日なので早めにバイクを返しておこうと提案する。また、お土産と今日の晩ご飯を買う為にショッピングモールへ行こうという事になった。
起きたばかりなので腰の重い一行だったが、剛がこけてバイクに傷をつけてしまっていた事もあり、返す際になにかと不安な事が多かったので早々に返しに行く事になった。
一昨日、昨日の経験上パトンビーチには警察による検問が多数敷かれている為、まずは3人で編成された偵察部隊がいい感じに迂回できる道を探してから残りの実動部隊もその道を追ってくることに。(というか実動部隊組は洗濯物がまだ終わってなかっただけ)
自分、ハマスケ、レンの3人で編成された偵察部隊が出発、一度捕まった交差点の手前で曲がり、市場にバイクを止めた。バイクを止めたあと、徒歩でバイク屋まで歩き、検問が敷かれていないか確認した。全然検問してなかったのでLINEグループにて報告する。
(不参加のあきとが勘違いした様子、ゴメン)
なんとか全員が着いたのち、バイクを返す。しかし、早速バイク屋の主人にレンのバイクが引っかかる(以下意訳)
「ガソリン満タン入れて返せや!40バーツ!」
そんなに痛くない出費だがプーケットでのガソリンの相場は1ビン30バーツ程度(ガソリンを入れた瓶が売っていてそれを何本か買って入れる)なので普通に損。
ハマスケ、自分のバイクをそれを見越してヒタヒタになるまでガソリンを入れていたおかげで引っかかることなくスルー。また、剛以外のバイクはコケたり傷を付けていることもない為車体をジッと見られても特に何も言われる事がない。
偵察部隊のバイクを一通り見られ、返却が済んだところで洗濯部隊が到着、早速返却作業をせかせかと行うバイク屋のおっちゃん達。
剛のバイクを止める際に機転を利かせて傷が見えないように駐車するも傷がバレる。はて?と首を傾げながら主人は剛にこう尋ねる。
主人「この傷なんや?おまえコケたんけ?」
剛「ん?こんな傷知らんし、コケてないで」
見事にすっとぼけるつよし、首を傾げながら主人は店の中に入っていく。バイクを借りる際、レンタル前のバイクの状態を確認する為にパシャパシャ写真を撮っていたのでそれを確認しに行ったんだろう。
確信を得た表情をしながら主人がつよしとバイクのもとに戻ってきた。
「コケたな?とぼけても無駄やでワシ長いんやこの仕事」
図星である。とぼけるつよしだが主人はつよしの膝を指差してまた畳み掛ける。
「膝怪我しとるやないかい!コケたに決まっとるやろ!」
名探偵タイ人の名推理にしてやられた一行は推理フェーズから裁判フェーズに移行する。
「とりあえずあんたはコケたんやな、ほなこの傷を査定するで」
伝票みたいな紙をもってバイクの査定を始める主人とこれくらいの傷で多額の修理料金を取られるわけないだろうと鷹を括る一行。査定が終わるまでしばらく待つ。
「よしゃ!バイクのカウルとフロントフォーク、ハンドルバーの歪みを諸々直してこの値段や!」
と主人が提示してきた金額は11900バーツ(うろ覚え)、日本円にして大体35000円くらいである。なんとか安くしようと粘るハマスケとつよしに頭を抱えた主人はひとまず2人を椅子に座らせバイクの傷を事細かに説明していく。
「ええかアホンダラ、カウルの傷は新品に交換せなあかんし、フロントフォークの歪みを直すのにも手間がかかる。この値段は妥当なんや」
もし、日本で直す場合、大体10万くらいいきそうな傷だったがタイはバイク産業が栄えている為か物価が安いのかお手頃なプライス。しかしそれに負けじと粘るつよしとハマスケ、その気迫に押されたのか値下げを試みる主人。
「うーんせやなぁ、ほなら9000でどうや!」
まだまだ粘るつよしとハマスケ、最終的には7000バーツまで値下げさせたのだからビックリである。
なんとか7000バーツまで修理価格を引きずり下げ、キャッシングを駆使して支払いを済ませたつよしの顔がこちらである。
(辛そう)
バイクの返却を終え、お土産と晩ご飯を求め歩き出した一行。途中で夕焼けが綺麗そう、という理由でパトンビーチに寄る。
10mほどとなりで黒人たちが輪になって民族楽器で小気味の良い音学を奏でていた。その音楽に合わせてノリノリで踊り狂う白人オバちゃん、音楽も踊りも一通り終わると全員が他人のように散っていった。現地集合、現地解散。
(綺麗さが伝わらない写真)
パトンビーチで一通りまどろんだところで当初の目的であるショッピングモールへ歩き、到着。
パトンでもなかなかデカイショッピングモールらしく日本でも見慣れたブランドが店を構えており、日本のショッピングモールとあんまり変わらない。
さっそく各々今日の晩ご飯を選ぶ一行、つよしとハマスケはタイでアメリカを感じたいらしく手作りハンバーガーを作るらしい。岡田くんはお惣菜コーナーにかじりついている。タイ料理が比較的苦手の部類に入るレンと自分はタイからなるべく距離を置いたものを食べたいという事で作戦会議をしていた。
レンとの作戦会議の結果、勇たちは何を食べたいか聞いてみようという事で早速たずねる。
勇「マック食べよかなぁとおもてる」
2人の胃袋にどストライクである、しゅき。
というわけでハンバーガーを作る予定のハマスケとつよし、買い食いしている岡田以外の5人で現地のマクドナルドへ。タイのマックはタッチパネル的なもので注文したのち、レシートを持って精算、受け取るといったなんとも効率的なシステムである。値段は日本と大体一緒だがコーラやポテトがべらぼうにデカイ。
期間限定でやってる侍バーガーを注文したようすけが辛すぎてキレてたのを除けば特に味も変わらず普通のマックだった。
食事を済ませたのち、近くでやっているナイトマーケットへ行くことに。お昼には何もなかった場所に屋台がズラリと並んでいる。
そろそろお土産を買おうかなと思っていたのでフラフラと屋台を見て回っていると、タイパンツやTシャツが売っている屋台があったのと見て入る。すると店主のおばちゃんに
「Where are you from?」
と聞かれたので
「じゃぱん」
と言うとやや拙い日本語で喋り出した。
「おにさん達、ヤスイヨこれいっぱい買ってけ」
なんで命令口調なのかはわからないがとりあえず物色するおにさん達、気に入ったタイパンツがあったのでおばちゃんに値段を聞いてみる。
「ソレ150バーツね、もっと買って買ってけ」
タイの屋台では観光客に向けてやや高めの値段を設定しているとの事なので、値下げ交渉していく。
おにさん達「いや高い、100バーツでどや?」
おばちゃん「のんのん、これ安い安いヨ」
おにさん達「おばちゃん綺麗だし、安くして」
おばちゃん「2着買うなら、130バーツネ」
作戦会議を行う我々、ようすけは1着買うつもりらしいので、自分は2着買うことに
おにさん達「3着買うからまとめて360バーツ!どや?」
おばちゃん「私ボスに怒られるから375バーツまでしか下げれないヨ」
おにさん「ほならそれで買うわ」
ということで得したのかよくわかってないがとりあえず購入。おばちゃんの知り合いの店に案内されたり、そこでまた値下げ交渉をしつつナイトマーケットで買い物を済ませ、帰宅。
帰宅すると、ハマスケと剛が満足げな表情でプールにて汗を流していた。(夜になるとシャワーが出ないから)
手作りハンバーガーはどうだったのか聞いてみるとなかなかナイスなテイスト、タイでアメリカを感じれたらしい。
タイ旅行もいよいよ明日で最後なので、キッチンにて談笑したのち、荷造りをして眠った一行であった。
【その6】パトン良いとこ一度はおいで
〜4日目の朝9時過ぎ〜
剛が大ゴケしたのち、またご飯を求めてビショビショの水着のまま出発した一行。しばらくバイクを走らせているとなんかいい感じの高台に到着。
いつもよりかなり慎重にバイクを止め、周りを見渡すと大勢の外国人観光客、どうやらそこそこ有名な景観スポットらしい。綺麗な景観にますますハイテンションになる岡田くんを背に高台に登っていくと、先ほどまで遊んでいたカタビーチが一望できた。書くほどの面白い出来事はなく、高台を後にする
(左から岡田くん、ハマスケ、剛、自分)
また走り出した一行、次はいい感じのビーチに着く、またまたテンションが上がって声が大きくなる岡田くん、おあつらえ向きにご飯屋さんがあったのでそこに入り、各々注文。
自分はフライドライス、岡田くんはなんちゃらヌードルを注文してたのだが、味付けが完全に夏休みの昼ごはんに母が作り置いてくれている炒飯、そして焼うどんでありなんとなく懐かしい気持ちになりつつ食事を済ませる。
懐かしい気持ちで満腹になりながらバイクで南へ走る。お次はプーケットの最南端スポットであり、なかなか荘厳な景観でした。書くことの程がない。
特にあてもなくツーリングしていた一行。さあ次はどこへ行こうかと頭を悩ませるも、結局昨日行けなかったビッグブッダに行くことに。
ビッグブッダはプーケットで一番高い山(適当)の上に位置しており、先述したが奈良の東大寺の大仏の3倍以上の大きさを誇るらしい、そんなものどうやって山の上に作ったんだ。寄付によって建てられた為、入場料は無料である。
早速ハマスケにナビを任せ、ビッグブッダへ向かう。プーケットの中でも地元民が多く住んでいる場所なのかどうかは知らないが、観光スポット的なものは皆無に等しく、地域に根差したバイク屋さんやスーパーが多く見受けられる。
ビッグブッダへ行くには山を登る必要がある為、かなり勾配がある山道をバイクでブイブイと登っていく一行。ちょくちょく観光客がゾウに乗れる!みたいなスポットがあり、心を惹かれるがそんなお金はないので勿論スルー。
〜デカイぞ!スゴイぞ!ビッグブッダ〜
かなりの山道を登り切り、やっとこさ到着。遠い位置からだとそんなに大きくないなぁと思っていたのだが、近づいてみるとべらぼうにデカイ。さすがビッグブッダというだけあって、まさに名が体を表しているデカさである。
(デカさが全く伝わらない写真)
【これを読んでいる女性のあなた!ビッグブッダへ入場する際気をつけなければならない事が一つだけあります。】
それはビッグブッダへお参りしに来ているお坊さんの修行を邪魔しない事、タイは常夏の国のため、肌を露出した服装、短いスカート等を履きたいとは思いますが、そんなことをしてしまうと長い間禁欲生活をしているお坊さんが勃起してしまい、修行が台無しになります。くれぐれも気をつけてください。
(それを知らずに露出高めの服装できてしまった人たちの為に、巻いて体を隠す布的なやつが入場口のすぐそばに置いてある。)
しかしこのビッグブッダ、近づいたものの写真を撮る以外に特にやることはない(お土産屋さんが立ち並んでいたけれど、外人観光客でもコレ買うの?と思うくらいのぼったくりプライス)、タバコを吸い、しこたま写真を撮ったのち早々に退散した金欠大学生たちであった。
〜タイはプーケット大捕物帖〜
そんなこんなで時刻はお昼の12時、先ほどご飯を食べたのでお腹は特に空いていない一行はもう疲れたから一旦ホテルへ帰ろうと画策する。しかし、昨日バカ三人衆が警察に切符を切られているため、検問のめんどくささ、金銭的ダメージは嫌というほど判っている一行。
ビッグブッダからカロンビーチへの道のりには検問はないが、カロンビーチから宿へ帰る道のりには警察による検問が敷かれている。この道を迂回して帰る事はできず、どうしても検問が敷いてある道を通らなければならない。
(位置関係はこんな感じ)
ここでグダグダしていてもしょうがないという事でとりあえずカタビーチに向けて出発する一行。すれ違うパトカーにビクビクしつつ無事カタビーチへ到着。
夜ご飯は皆でカタビーチにあるタイタイというハマスケ一押しのタイ料理屋さんで食べようという事でカタビーチにバイクを止め、無免許切符を切られないために、トゥクトゥクで宿まで帰ることに決定。
しかし、朝早くから移動しているためか疲弊しきっている我々、ハマスケと岡田くんは疲れを癒す為マッサージを受けてから帰るとのこと。
しかたなく剛と二人でトゥクトゥクに乗り帰宅しようとするもなんと検問していないではないか!まぁしょうがないと諦めつつ帰宅、汗をプールで流す。
流石に疲れが溜まっているので昼寝を試みるも、マッサージ終わりで疲れが全快しているハマスケと岡田くん、疲れ知らずの剛がプールではしゃぎまくっている為、全く眠れない…
検問していなかったという情報を得た二人はバイクで帰ってきたらしいのだが、二人が帰ってくる頃には再び検問を行なっていたらしく、制止をふりきって爆速で帰ってきたらしい。力こそパワー
プールではしゃぎまくる3人を尻目にロビーのソファにて眠っているといつのまにか3人もソファで遊び疲れて眠っていた。
別行動組とのカタビーチでの集合時間を18時に決めていたのだが、18時ピッタリに起きた我々、急いで準備をしたのち、二人乗りでカタビーチへ向かう。
〜関西大学文化会美食軽音〜
タイタイに遅れて到着した四人、別行動組の四人はもうタイタイに入っているらしい。合流したのち、大皿料理を皆で分け合おうということでいろんな種類の料理を頼む。
ハマスケはもはや常連の域であり、昨日もタイタイで料理を食べた挙句、サービスでスイカまでもらったらしい。
さすがオススメとだけあって美味しい、特にマッサマンカレーと空芯菜(緑のニラみたいなやつ)が美味しかった。内装はタイ版ケープといった感じ。
(月並みなコメントすら出来なくてゴメン)
そんなこんなで食事を済ませたのち、宿へ帰宅した一行であった。
〜タイ式プロレスマッサージ〜
帰宅したけども、まだまだ遊び足りない一行。岡田くんとハマスケによるとマッサージがめちゃくちゃ気持ち良かったらしいので行ってみたくなり、日本人観光客が多く訪れている有名なマッサージ店があるバングラストリートへ。
金欠の迅とバイクで夜の街を走ってみたいという勇と別れ、残りのメンバーでトゥクトゥクに乗り、向かう。
着いて早々にアル中岡田くんは酒が飲みたいと言い始め、ハマスケと飲み屋街へ。
しかたなく残りの四人のメンバーでマッサージ店に向かうも、今入れるのは3人までで1人は30分待っててくれとのこと、それならばと2人ずつに分かれ、後半組となったようすけと自分は夜のバングラストリートを見て回ることに。
さすが世界中のパリピが集まるとだけあってなかなか妖艶な雰囲気が漂うバングラストリート、二人で歩いていると「タイマタイマ!ガンジャ!」「ちんちんマッサージ?」となかなかアウトな勧誘に迫られる。もちろんそんなことをするお金も度胸もないのでひたすら景観を眺めながら歩く。
あてもなくポテポテ歩いていると約束の時間である30分が過ぎようとしていたので急いでマッサージ店に戻る。
「予約してた2人です〜」と平身低頭な態度でお店に入っていくと、マッサージが気持ち良すぎて寝ている剛とレンが居た。そんなに気持ちいいのかと胸を踊らせながらおばちゃんに案内され、マッサージチェアみたいなふかふかの椅子に座らされる。
自分のマッサージを担当してくれるのはこの道30年マッサージ一筋(みたいな見た目の)おばちゃん、なかなか期待できそうである。
今回頼んだのは足のオイルマッサージ、全身マッサージされてみたいとは思ったがそんなお金も時間(23時閉店で現在22時30分)もないので、このコースにした。
早速洗面器みたいなので足をジャブジャブ洗ってオイルを塗りたくられる。こんなもん年頃の女の子にされたらドキドキしそうだが相手は熟練のおばちゃんなのでもちろんそんなことなくスマホをポチポチと触りながらマッサージを待つ。
オイルをひとしきり足に塗りたくられた後、やっとこさマッサージに入る。めちゃくちゃ気持ち良い、ここ四日間一日中歩き回っていたのでおばちゃんの豪快な指圧マッサージが疲れた素足に効く、たまらず眠ってしまうようすけと自分。
先にマッサージを受けているレンと剛も隣で眠っているので、全員横並びになっておばちゃんに足をモミモミされながら寝ているというなんとも滑稽な状況となっていた店内。剛とレンは30分先にマッサージを受けていたのでいよいよマッサージも仕上げに入る。
何やら上体を起こされ、肩と首のマッサージをされているらしい、だが剛とレンの顔が一瞬だけ苦痛に歪んでいた。一体何をされているんだ…
そんなこんなでマッサージを終え、店内から去っていく2人。それを見送っていると自分たちのマッサージも仕上げに入っていった。上体を起こされ肩をマッサージされる、気持ち良い。次に首をモミモミと揉まれる、長旅で疲れた首のコリが吹っ飛んでいく。
ひとしきり揉み終わるとおばちゃんが自分の肩の下に手を入れ、力を込め始めているのが判った。一瞬剛とレンの顔が苦痛に歪んでいたことと、子供の頃お父さんの隣で見ていたプロレスのバックドロップを思い出す。
これから何をされるんだとハラハラドキドキしながらおばちゃんに身を任せていると、両腕を背中の方にぐっと引っ張られ、さらに背中を足の裏でグイグイ押されるという想像とはまた違うプロレス技をかけられた。めちゃくちゃ痛い。
先ほどまで完全に自分を夢の世界へ誘っていたおばちゃんに我流のプロレス技で無理やり現実に引き戻され、マッサージは終わった。
天国から地獄に落とされたようすけと自分はおばちゃんになけなしのチップを渡し、店を去った。
さて今からどうしようかと悩むもお金もないので剛とレンと合流し、再びバングラストリートをぶらぶらすることに、しかしバケツをひっくり返したような雨が降ってきた。
しかたなく雨宿りしていると、後ろからほろ酔いの岡田くんとハマスケが登場。雨のせいで服もびちゃびちゃになり、帰巣本能が働いた一行は早々に帰宅。各々プールで汗を流し(夜中になるとシャワーが出ない)、就寝したのであった。
【その5】パトン良いとこ一度はおいで
〜4日目の朝6時〜
岡田くんが隣でゴソゴソしだしたのにつられて起きる。またお前か
寝ぼけ眼でこんな早くに起きて何をするつもりなのかと話を聞いてみるとどうやら昨日のサーフィン(紛い)がお気に召したらしく、今日もカロンビーチに行くらしい。
昨日は違反切符を切られて宿に引きこもっていたので今日は外出しようと自分もいそいそと準備を始めた。
〜いい波のってんねー!カタビーチ〜
ハマスケ、剛、岡田、自分の4人でビーチへ向けて出発。早朝の交通量が少ない道をかっ飛ばし、目的地であるカロンビーチに到着。しかし全く波がない。これでは波に乗れないじゃないか!ということでもう少し離れたカタビーチへ向かう。
プーケットはリゾート地であり、ホテルやレンタルバイク屋、お土産屋さんなどが所狭しと並んでいる。そんな通りには見向きもせず、ただでかい波を求めてかっ飛ばす日本人4人。なんとも可笑しな図である。
そんなこんなでカタビーチに到着、道路脇にバイクを止めて、お待ちかねの海へ到着したというわけでハマスケと剛に身一つで、波に乗る方法についてレクチャーしてもらう。
【え、サーフィンするんじゃないの???と思ったそこの貴方、説明しましょう。】
ハマスケ曰く、サーフィンをするには、波が沖の方で割れる(イメージ図🌊)必要性があるらしい。今回我々が泳いでいるカタビーチでは、波が砂浜のすぐ近くで割れている。サーフボードなんぞバカでかい板で波になってしまったら、人を巻き込んで座礁してしまうのでサーフィンは不可能、というわけである。
というわけで、身一つで波に乗る方法に戻ろう。身一つで波に乗るにはまず、自分の足がつくかつかないかギリギリ辺りの位置ででかい波を待つ。よし!この波に乗るぞと決めたところで、波を背に自身の後方約3m程度のところまで波が到達するのを待つ。到達したとき、波の進行方向に向かって全力で泳ぐ。うまくいけば波が体を持ち上げてくれ、波に乗ることが出来るらしい。(伝わりにくくてゴメン)
自分はそもそもカナヅチで泳ぐのが下手なので、一度も乗れないままだったのだが、大きい波(自分の背丈と同じくらい)がくる、というだけで楽しかった。
沖に背を向けてのんびり会話なんぞしようもんなら一気に波に体を持っていかれ、一回転して座礁、なんてことはよくある話らしい。
ひとしきり波と戯れていると、便意のビッグウェーブが腸に押し寄せてきたので、トイレへ
タイでは公衆トイレが有料(10バーツ)であり、お金を払わずに入ろうもんならトイレの前で番をしているおっさんにカンカンに怒られる。しかし自分は先程まで海で泳いでいたということもあり、あいにく持ち合わせはない。腸に押し寄せるビッグウェーブ、あまりの腹痛に脂汗まで出てきた。
もうこれしかないと一か八か、トイレの前で番をしているおっさんに向けて精一杯の辛そうな顔で「ト、トイレ使ってもいいですか…」と尋ねると、なんと快諾。ことなきを得たのであった。
地獄の門番とは名ばかりのおっさんケルベロスを欺き、用を済ませたのち、朝ごはんを食べようということでカタビーチを後にした。
〜ブオオン!早いぞ剛!涙の大ゴケ〜
朝ごはんを求めて道を突き進んでいると、アップダウンがかなり激しい山道へと入っていった。景色の良いご飯屋さんはあるものの、まだ朝の8時ということもあってオープンしていない。どこか開いている店はないかとバイクを走らせていると、またご飯屋さんを見つけた、迷わず駐車場に入るも営業時間外だった為、しかたなく砂利道でできた駐車場を切り返す。
また別のご飯屋さんを探すために出発しようとする一行、しかしハマスケと剛の発進が被ってしまう(下図参照)
焦る剛、ブレーキを握ってバイクを制動しようとするもアクセルを捻ってしまっていた為、バランスを崩し暴れ牛のように右に左に揺れる揺れる。
しまいにはバランスを崩し、結構な勢いで横転。その姿はサカナクション12thシングル「多分、風」のジャケット写真そのものであり、盛大な土煙を巻き起こしながら転倒していた。(下イメージ図)
結構な勢いでの転倒、土煙を巻き起こしながらもまだ回っているタイヤに一瞬最悪の状況を想定する一行だったが、当の本人が最初にあげた言葉は、
「ナーハッハッハッハッハッ!」
笑い声だった。
あ、大丈夫なんやね…とホッと胸を撫で下ろし、車体の傷と当人の怪我を確認したのち、また別のお店を求めて何事もなく出発しましたとさ。
おしまい
【その4】パトン良いとこ一度はおいで
〜警官「You must pay fine.OK?」〜
昨日一日中歩きまくったおかげでこれまでの疲れが爆発し、昼前に起床。岡田くんと剛と迅とハマスケの姿が見当たらないので、何してるのかなぁと思ってたらお隣のカロンビーチにサーフィンしに行ったとのこと。
特に予定も決めていなかったので、残されたメンバーでビッグブッダという東大寺の大仏の3倍以上のデカさを誇る大仏を拝みにツーリングしに行くことになった。
とりあえずまずは昼ごはんを食べようということで、ようすけ、勇、自分の3人で意気揚々と出発。
まずは最初の道を左に曲がらなければならないのだが、右に曲がってしまった我々(道の間違いには後で気付いた)、これが悪夢の始まりであった。
いつもは交通量の多い道なはずだが、この時間帯はお昼時なのか交通量が少なかった為、ビッグブッダへの道のりを、俺たちは吹田のマッドマックスだ!言わんばかりの猛スピードで快調に飛ばす3人(道間違ってる)
五分ほど走ったところの交差点で隅っこに隠れていた警官に止められる。路肩にバイクを止めさせられ、バイクのキーを抜かれた。
しかし、出発前にプーケット有識者であり、現地でバイクを乗り回していたハマスケから「警察に捕まったら賄賂を渡せば見逃してもらえる」という治外法権な知識を得ていた我々は、この時点ではまだ余裕である。
警官「English OK?」
自分「おーけーおーけー」
警官「Show your license.」
自分「おーぅ、あいどんとはぶ、らいせんす」
警官「Oh.You must pay fine OK?」
この時点ではまだ余裕である
自分「あいばいでぃすきー」
(あなたに取られた鍵を買うよ?賄賂を渡すぜ?と言いたかった)
警官「No.You must pay fine OK?」
この時点でかなり余裕がなくなってきた我々
自分「いずいっとあぶそるぅとりー、のー?」
(どうしてもダメなん?って言いたかった)
警官「Absolutely No!」
観念しました。
警官曰く、この先に警察署があるから、バイクで行って罰金を支払ってこい、それまでこの三台のバイクのうち一台は返さねぇぞ!との事。
無免許でバイクに乗っているということに対して切符を切られたのにその罰金をバイクに乗って警察署へ行き、支払ってこいとは本末転倒である。プーケット島じゃなくて本末転島に改名したらどうだろうか。
グダグダ言っていても仕方がないので、人質ならぬバイク質を取られたようすけを後ろに乗せ、警察署にむけて出発。
途中同じように取り締まりをしている警察官に止められたものの罰金支払い書(?)をピラピラ見せたら「OK.Go!」といわれ、通してもらえた。
10分ほど走り、警察署に到着。クーラーの効いた涼しい待合室には、おそらく同じように切符を切られたであろう観光客がわんさか居た。
罰金カウンター的なところに座らされたのち、半ニヤケの警察官に罰金1000バーツ(大体3000円強)を支払う。5分もない手続きを終えたのち、謎の素材でできたピラッピラの領収書を渡された。
すっかり意気消沈した吹田のマッドマックス達は、バイク質を取り返したのち、ホテルへ引き返したのであった。
〜ホテルに帰ったのち〜
タイで伸ばしまくっていた羽を現地警官にブチ折られた三人衆。自分はもう今日は外に出たくない、ニートになると決心した。
しかし、一度切符を切られるとその日1日はもう切符を切られない(領収書を見せると通してもらえる)という情報を得た勇とようすけは再びバイクでパトン市街へと繰り出していった。
サーフィン組がもうすぐ帰ってこないかなと淡い期待を抱きつつ、プールサイドでくつろいでいると、いつのまにか寝てしまっていた。
起きると剛と岡田が帰ってきていた。警察による検問は大丈夫だったのかと尋ねると、目にも止まらぬ猛スピードで突っ切ったおかげで止められずに済んだとのこと、力こそパワーである。元々家に居たレンと合わせて四人でプールで遊ぶ。楽しい。
ただこのプール、深い場所はとんでもなく深く、自分のような低身長カナヅチ人間は簡単に溺れてしまう。プールと一対一の命のやり取りをしつつ遊んでいるといつのまにか日が暮れていた。
〜カルボナーラピザばり美味い〜
全員帰ってきたので今日のご飯をどうするか考えた結果、罰金が怖いので街に繰り出さず、大人しく宿でデリバリーピザを取ろうということになった。
ここで再びユミコが登場、我々が取ろうとしていたピザは残念ながらこのホテルでは配達してもらえないとのこと、代替案としてユミコが持ってきたこのホテルでも配達してもらえる出前のメニューを受け取ったのち、何を食べるか協議するも結局ピザに決まる。
待ち時間をビリヤード(ロビーのところにビリヤード台があってん、すごくない?)で潰しているとピザが到着。
頼んだのはカルボナーラピザ、その他二枚のピザ、チキン、オニオンリング。
(カルボナーラピザが旨すぎて他のピザの名前忘れた)
昼ごはんから四半日ほど経っていたので、久しぶりの餌にありつく日本人8匹。カルボナーラピザまじで美味かった。食べている最中に勇のオーディオスピーカーで音楽をかけていたのだが、スーパーオーガニズムのSomething for your mindが永遠にリピートされる。ピザを食べているせいでスマホが触れないので結局4回くらいリピートされていた。
〜心臓破りのパトンヒルズ〜
食べ終わった。しかし、今回の旅行メンバーはデブの割合が高いのでまだまだ食べ足りないとのこと。罰金も怖いので片道20分ほどかけて坂の下にあるコンビニへ向かうことに。
この坂道、下るときもそれなりにしんどいのだが、帰る時はもっとつらい。バイクという近代科学の結晶に甘えていた我々はそんな事実に気づくことなく坂道を駆け下りていった。
各々欲しい食べ物、飲み物を購入したのち心臓破りの坂を登っていったのだった。
(余談となるが、この辺りから岡田くんがタイティー(とにかく甘い、そして美味い)に対する異様なまでの執着を見せるようになった。本人曰く、日本で飲みたくならないように、タイで飲みまくって飽きるつもりだったらしい。)
ゼエゼエハアハア言いながらなんとか宿まで辿り着く、読んでいる人たちには伝わらないかもしれないが、向こうは常夏の国なので、まあ暑いこと暑いこと。
汗だくになった体をシャワーで流そうとするもなんと水が出ない!(昨晩も出ていなかったけど、一時的な断水だと思っていた)
しかたがないので汗をかいた体をプールで流す。プールでひとしきり泳いだ後、ロビーにて剛、レン、勇、ようすけとドキュメンタル的な事をした(あんまり覚えてない)
警察に罰金払わされる(当たり前)最悪の1日はこうして幕を閉じたのであった。
【その3】パトン良いとこ一度はおいで
〜岡田くんこだわりの朝食〜
アイマスクをしていたおかげで快眠!だったのだが、岡田くんが隣でゴソゴソ支度をしだしたのにつられて眠いまま起床。
部屋に置いてあったネスレのコーヒーを作って岡田くんと飲むも、何も味がしない、ただの黒いお湯だった。
黒いお湯に不満げな元コンビニ店員の岡田くんは現地のセブンイレブンで朝食を買いたいとのことでそれならばと自分も身支度を始めた。
一緒に行くかなぁとの親切心で別の部屋で寝ている洋輔と迅を起こそうと試みるが全く起きる気配が無い、しかたなく岡田くんと2人でセブンイレブンへ。
日本の内装とさして変わらないセブンイレブンタイプーケット空港前店で朝ごはんを各々選び始める。何を食べようかなぁと考えていたが、岡田くんが目を輝かせながら見ていたショーケースのパンが美味しそうだったのでつられて購入。先ほどの黒いお湯に対してのリベンジを誓いつつ、レジのお姉さんに拙い英語でアイスラテをくださいと伝える。
タイのセブンイレブンは日本のシステムと少し違い、コーヒーはレジの店員さんが入れてくれる。それを待っている間、レジのふくよかな体型のお姉さんはずっと岡田くんの方を見ながらあからさまに0円ではないスマイルでニコニコしていた。それに気を取られたのかアイスラテを2割くらい床にぶちまける岡田くん。
ぶちまけたアイスラテをほったらかしにしたままセブンを後にし、ホテルの前でパンをかじる。上にかかってるテカテカのソースが甘ったるくて食えたもんじゃない!と喚いているのを尻目に全く同じソースがかかったパンを美味しそうにかじる岡田くん。どうやらタイの食べ物は自分には合わないらしい。
ホテルへ戻るとさすがに起きていた洋輔と迅、起こすまでもなく起きていた勇は一人でカップ麺を食べていた。
〜宿泊先のパトンヒルズ5へ〜
剛たちとの合流地が決まったので、そこへ向かう。合流したのち、二日目の宿へ連れて行ってくれるバスをハマスケが手配してくれている、というか今回のタイ旅行はハマスケが大体のことを手配してくれた。頭があがらない。
スーツケースをいかついおっちゃんに預け、みんなで乗り込む。プーケットの街並みはザ・アジアといった感じでこれを読んでいる人たちが想像する感じそのまんまである。
海側に近づいていく程にみんなのテンションがうなぎのぼりに上がっていく、とてつもない険しい坂道を登ってるなぁと思ったらでかい家に着いた。まさかとは思ったがここが今日から泊まる宿らしい。
オカマみたいなおっさん管理人(自称ユミコ)からの説明を受けたのち皆一斉にプールに飛び込む。
自分の中の勝手なイメージとしてタイは工事済みのオカマがわんさかそこら中にいるイメージがあったので、もしかしたらこのオッサンもオカマなんじゃないかという浅はかな予想を頭の片隅でしつつ、プールで遊んでいた。
部屋は5部屋あってそのうち、シングルベッド部屋が2つキングベッド部屋が3つあった。
公正なるあみだくじによって部屋決めをした結果、岡田くんとキングベッドで残りの4日間床を共にするハメになった。
〜13時ごろ、パトンにて〜
ホテルを楽しむのもそこそこに、本滞在中の足となるバイクをパトンに借りに行こうということで街に繰り出した一行だったが、まあ暑いこと暑いこと、これが常夏の国だ!と言わんばかりの猛暑日顔負けの暑さである。
あまりの暑さにさすがにバテてきたのでご飯を食べようということになり、たまたま目に入ったレストランに入った一行。
壁がなく、屋根だけのレストランだったが日射しを凌げるだけでもだいぶ涼しい。あとこれは個人的にビックリしたことだが、なんとタイのレストランお水が出てこない、「水を飲みたいなら勝手にその辺で買って持ってこい!」というガチのセルフサービス。流石にそれは困るということで自分はコーラとガーリックビーフライスを注文(そこそこのお味)。
満腹になったお腹をさすりながらまた一行はレンタルバイク屋さんを探し始めた我々、何とか納得いくバイク屋さんを見つけたが、レンタルする為にはパスポートを全員分(8人)預けろとのこと、それは流石に気が引けるとハマスケが交渉してくれた結果、2人分預けるということで手打ちとなった。ありがとうほんとに。
タイでは、大体の旅行客がこういったレンタルバイク屋さんでバイクを借り、そのバイクを使って観光する。と言ったことがわりと主流のようである。もちろん無免許である
日本でよく見る一般的な原付のように見えるが、タイの原付はほとんどが100cc以上であり、中型免許で乗れるバイクとなんら変わらないパワーをもつ暴れ馬ばかりである。
しかも我々、これを書いている宇津、そして勇以外は原付に乗った経験がなく、人生初ツーリングとのこと。
これがのちに一人の男に悲劇をもたらすことになるのだが、それはまた2日後の話である。
〜パトンビーチの物売りおじさん〜
早速借りたバイクでタイの交通量の多い道を走る二部軽音御一行、慣れないハンドル捌きでトロトロと進んでいく。
なんとか最初の目的地であるパトンビーチに到着、しかしレンのメットホルダー(座席の下のパカッと開くところ)が開かないうえに自分のバイクのハンドルバーが歪んでいる気がする。これはまた後でバイク屋に言いに行くとしてとりあえずパトンビーチを楽しむことに。
砂浜でまどろんでいると、象さんのよくわからん木工品を押し売りされた。その木工品をレンが買おうともせずにふざけつつあしらっていると、普通にハンドサインで死ねと言われていた。そりゃそーだ。
前述したバイクの不調をなんとかして貰ったのち、各々欲しいものを買いに別行動したのちホテルへ戻る。
〜19時ごろホテルにて〜
汗を流す為にプールで泳ぎ、プールサイドでタバコを吸いながらくつろいでいると
ツインテールにおめかししたユミコ(注1)が登場、よくよく聞いてみるとユミコは下半身工事済みのオカマであり、下半身は工事するのに容姿は全く女側に寄せない近年タイでは希有なストロングスタイルのオカマ(おっさん)とのこと、しかもさっきまで女装していたらしい。もしかしてオカマなんじゃね(笑)という浅はかな予想が当たっていたわけである。
バングラストリートという世界中のパリピが集まるストリートを紹介される。そんなストリートを一目見てみたいという我々はユミコの巧みな口車に乗せられバングラストリートへ向かうこととなる。
そしてこれは後述するが、この時あたりからユミコのハマスケに対するボディタッチやアプローチが激しくなってくる。
注1):ホテルの管理人、チン無し女おじさん
バングラストリートに着いた我々、行き交う外国人やいかにもオカマみたいな見た目の女おじさんを見てテンションが上がる一行。とりあえずバングラストリートを見て回ろうということでDQNカーの車内みたいなズンズンドムドム音が鳴り響くストリートをかき分けながら練り歩く
ひとしきり歩いたところで、田舎っぺの我々はズンズンドムドム音に疲れ、バングラストリートから早々に退散するのであった。
〜パトンヒルズ5に帰還〜
パリピたちのとんでもない気迫に気圧され、ものの一瞬でホテルへ帰ってきた我々はなんでもない会話をしつつユミコが手配してくれた缶ビールを呑み、その日の夜は更けていった。